兼子利光「隅田川メモ」
はじめに
隅田川については、文学作品のみならず、映画・テレビなど様々な媒体で取り上げられていて、その文献・資料のなかには「枚挙にいとまがない」と断っているものが少なからずあって、それこそ隅田川についての言説は枚挙にいとまがないと言っていい。したがって、ここでは個人的なメモ書きを超えるものはほとんどないかもしれないし、参照している文献・資料も少なく、個人的な偏りもあるにちがいない。それでも田山花袋が言うように「ロンドンにおけるテムズ川、パリにおけるセーヌ川」に比すべき、東京における隅田川の人々をとらえる、不可思議な魅力について記してみたいと思う。(兼子)
「朱塗りの佃小橋から、佃島に残る掘割の景観。左奥に見えるのが住吉神社の社殿。掘割は神社を囲むように隅田川へとつながっている。右手の手前の白い建物は佃島小学校で、背景にはリバーシティ21の高層ビル群。」(写真提供 兼子利光)
